星を「読む」のか「借りる」のか―占星術と占星魔術、その知られざる関係

こんにちは。御統いつきです。

「占星術」と聞くと、
星座占いやホロスコープを思い浮かべる方が多いかもしれません。

では、「占星魔術」と聞いたらどうでしょう?

少し怪しく感じる方もいるかもしれません。

けれど、この2つはまったく別々に生まれたものではありません。

むしろ西洋魔術の世界では、
占星術と魔術は非常に深い関係にあります。

簡単に言えば、

占星術は、星を「読む」もの
占星魔術は、星の力を「借りる」もの

そんな違いがあります。

どちらも数千年前から続いてきた、星と人間の関係をめぐる秘儀です。

今回は、占星術と占星魔術の関係、

そして現代まで伝わっている代表的な2つの占星魔術について、
できるだけわかりやすく紹介していきます。

占星術と占星魔術は、何が違うのか?

まずは、この2つの違いから見ていきましょう。

占星術は、

「今、自分はどのような状況にいるのか」
「これから何が起こりやすいのか」
「この問題をどう捉えればいいのか」

といったことを、
星の配置や運行から読み解いていくものです。

一方、占星魔術は、

「では、その星の力を実際に借りて、
目的を達成できないだろうか?」

という発想から生まれています。

つまり、

占星術=星を読む
占星魔術=星の力を行使する

というイメージです。

もちろん、実際にはもっと複雑な体系なのですが、
この違いを押さえておくと理解しやすくなります。

そして面白いのは、魔術を行う側も、
星のタイミングを非常に重要視してきた
ということです。

たとえば、

  • 月が満ちているのか、欠けているのか
  • どの惑星が力を持つ時間なのか
  • どの曜日なのか
  • その瞬間の惑星配置はどうなっているのか

こうした条件を見ながら、儀式を行う日時を選びます。

マジカルオイルやインセンスなどを調合するときにも、
同じように星回りが考慮されます。

つまり西洋魔術では、

「何をするか」だけではなく、「いつするか」も重要だった

ということです。

なぜ、わざわざ星のタイミングに合わせるの?

ここは、占星魔術を知らない方にとっては、
特に不思議なところかもしれません。

「願いを叶えたいなら、いつやってもいいんじゃないの?」

そう思いますよね。

でも、占星魔術の考え方では少し違います。

魔術とは、自分の力だけですべてを動かそうとするものではありません。

宇宙や自然界に存在するサイクルや力を読み、
その流れに合わせて働きかける技術でもあるからです。

たとえば、植物を育てるとき。

種を植えれば、
いつでも同じように育つわけではありません。

季節があり、日照があり、水があり、
植物が育ちやすいタイミングがあります。

それと似ています。

自然の流れに逆らうよりも、
流れが味方してくれるタイミングを選ぶ。

占星魔術では、
その「タイミング」を星から読み取ろうとします。

だからこそ、
月相やプラネタリーアワーなどが重要になってくるのです。

星の力を行使する「占星魔術」

では、実際にどのような占星魔術が
現代まで伝わっているのでしょうか。

代表的なものとして知られているのが、

「ソロモン惑星護符魔術」

そして

「ピカトリクス占星魔術」

の2つです。

どちらも星の力を利用する魔術ですが、
その方法や考え方には違いがあります。

1.ソロモン惑星護符魔術

まず紹介したいのが、「ソロモン惑星護符」です。

これは魔術書『ソロモンの大いなる鍵』に記された、
七惑星の護符を使う魔術です。

対象となるのは、

  • 太陽
  • 水星
  • 金星
  • 火星
  • 木星
  • 土星

という、いわゆる七惑星。

それぞれの惑星には異なる象徴や性質が与えられており、
自分の願いや目的に合わせて護符を選びます。

ソロモン惑星護符は、

太陽7種類、
月6種類、
水星5種類、
金星5種類、
火星7種類、
木星7種類、
土星7種類。

合計44種類あります。

たとえば、

愛や魅力に関係する願いなら金星。
発展や豊かさに関係する願いなら木星。
知性やコミュニケーションに関する願いなら水星。

というように、目的と惑星の象徴を重ね合わせていきます。

ただし、ここで大切なのが、

「護符を作れば、それで完成」というわけではない

ということです。

惑星護符は、いわば「器」。

そこに惑星の力を働かせるための儀式を行って、
はじめてタリスマンとして機能する、という考え方があります。

たとえば、お守りをイメージすると分かりやすいかもしれません。

ただ紙や木に文字を書いただけではなく、
祈祷などの儀式を経て「お守り」として扱われる。

ソロモン惑星護符にも、それに近い考え方があります。

月の満ち欠けも、願いによって変わる

ソロモン惑星護符では、
惑星だけでなく月のサイクルも重要になります。

基本的な考え方として、

「増やしたいもの」なら月が満ちていく時期。
「減らしたいもの」なら月が欠けていく時期。

というように、月のサイクルと願いの方向性を重ねます。

たとえば、

  • 収入を増やしたい。
  • 良い出会いを引き寄せたい。
  • 愛を育てたい。

そんな「増やす」方向の願いなら、月が満ちていく期間。

一方で、

  • 余分なものを手放したい。
  • 悪い習慣を断ちたい。
  • 嫌な人間関係から距離を置きたい。

といった「減らす」方向の願いなら、月が欠けていく期間。

このように、ソロモン惑星護符魔術は、

「願い」×「惑星」×「月のサイクル」

を重ねていくのが特徴かつ、面白いところです。

2.ピカトリクス占星魔術

もうひとつが、
非常に興味深い「ピカトリクス占星魔術」です。

『ピカトリクス』という魔術書に記された占星魔術で、
元になったのは中世アラビアの魔術書
『ガーヤト・アル=ハキーム(賢者の極み)』です。

12世紀にラテン語へ翻訳され、
その後の西洋魔術にも大きな影響を与えたとされています。

ピカトリクスの特徴は、七惑星だけではありません。

恒星や星座、月の28の宿など、
より広い天体の象徴を利用するところにあります。

たとえば、

  • スピカ
  • レグルス
  • アルゴル
  • プレアデス
  • アンタレス

などの恒星も登場します。

そして、それぞれの星や惑星の性質を護符に取り込んでいきます。

古い時代には、こうした占星護符が
王侯貴族などの間で用いられていたと言われ、

現代でもオカルト関係者だけでなく、
権力者やセレブも密かに用いているとも言われています。

「いつ作るか」が、とても重要

ピカトリクス占星魔術の面白さは、
護符のデザインだけではありません。

「いつ作るか」が非常に重要なのです。

星の力が強く働くタイミングを占星術的に見極め、
その瞬間に合わせて護符を制作し、儀式を行います。

そのため、ソロモン惑星護符に比べると、
かなり高度な占星術の知識が必要になります。

そして、もうひとつ注意したいポイントがあります。

それが、

「自分のネイタルチャートとの相性」

です。

ネイタルチャートとは、
生まれた瞬間の星の配置を示すホロスコープのこと。

ピカトリクスでは、
単純に「この願いならこの惑星」と決めるだけではありません。

自分自身のホロスコープにおいて、
その惑星がどのような状態なのか

というところまで見ていきます。

たとえば、

火星の力が弱く出ている人が火星の護符を使う。
太陽の力が弱い人が太陽の護符を使う。

こうした場合、
その惑星とは相性が合わず、力を制御しにくいため、
期待したような働きが得られない可能性があります。

そのため、弱く出ている惑星の護符は、
本当に必要な時にのみ使用するのがよいでしょう。

一方で、ネイタルチャートで強く出ている惑星は、
自分との相性がとても良く、なじみやすい傾向があります。

そのため、基本的には
強く出ている惑星の護符を使用することが推奨されています。

ちなみに私自身は、
ネイタルチャートを見ると金星と火星が強いという結果でした。

そのため、私がピカトリクスの惑星護符を使うのであれば、
金星や火星の護符を選ぶのがベストということになります。

「星の力」とは、結局なんなのか?

ここまで読んで、

「でも、星の力を借りるってどういうこと?」

と思った方もいるかもしれません。

これは、占星魔術を理解するうえで、
とても大切な問いだと思います。

現代の科学的な意味で、惑星が願いを叶えてくれる、
と証明されているわけではありません。

占星魔術は、
あくまで歴史的・秘術的な思想体系として捉えるのがよいでしょう。

そのうえで興味深いのは、

昔の人々が、星を単なる遠い天体としてではなく、
自分たちの世界とつながる「意味ある存在」として見ていた

ということです。

太陽は光と生命。
月は変化と周期。

金星は愛や美。
火星は行動や戦い。

木星は拡大や繁栄。
土星は制限や成熟。

そんなふうに、天体を人間の人生に重ね合わせていく。

だから占星魔術は、
単なる「願いを叶える方法」というだけではなく、

「自分の願いを、宇宙の象徴と結びつける行為」

として見ることもできます。

そう考えると、占星魔術は少し違った顔を見せてくれます。

初めてなら「ソロモン惑星護符」から

もし、この記事を読んで、
「占星魔術を実際にやってみたい」と思ったのであれば、

最初はソロモン惑星護符のほうが取り組みやすいでしょう。

プラネタリーアワーや月のサイクルを基準にするため、
ピカトリクスほど高度なホロスコープの読解を必要としないからです。

もちろん、占星術の知識があれば、
より深い領域まで働きかけることができるでしょう。

私自身も、
ソロモン惑星護符魔術を何度か行っています。

個人的に好きなのは、

「願いや目的に合わせて惑星を選べること」

そして、

「実際に存在する星や惑星を意識しながら儀式を行えること」

です。

ただ願いを紙に書くのとは、少し感覚が違います。

その感覚が、私はとても好きです。

星は、未来を決めるものではない

占星術や占星魔術の世界を知っていくと、
星と人間の関係について、いろいろな考え方が見えてきます。

星がすべてを決めるわけではありません。

未来が最初から固定されているわけでもありません。

それでも昔の人々は、夜空を見上げながら、

「この世界には、
自分たちにはまだ理解できない大きなリズムがある」

と感じていたのかもしれません。

占星術は、そのリズムを読む。
占星魔術は、そのリズムに自分の願いを重ねる。

そう考えると、この2つは意外と近い存在なのだと思います。

星を読むことも。
星の力を借りることも。

結局は、

「自分ひとりの力だけで世界を動かそうとしない」

という知恵なのかもしれません。

流れを見て。
タイミングを選んで。

自分の願いを丁寧に定める。
そして、できることをする。

それだけでも、私たちの行動は少し変わります。

星は、答えを押しつけてくるものではなく、

自分の願いを見つめ直すための鏡

なのかもしれません。

もっと実践的に知りたい方へ

実際にソロモン惑星護符魔術を行う場合の方法については、
こちらの記事で詳しく紹介しています。

【召喚魔術】ソロモンの大鍵・惑星護符魔術
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