
こんにちは。御統いつきです。
あなたは、
目に見えないものを怖いと思いますか?
妖怪。
精霊。
妖精。
神様。
「そんなもの、本当にいるの?」
そう思う人もいるかもしれません。
一方で、なんとなく気配を感じたり、
不思議な体験をしたり、
「もしかしたら、
私たちの知らない世界があるのかも」
と感じたことがある人もいるでしょう。
私は昔から、
そういう「見えない世界」に興味がありました。
そんな私が学生時代にはまった作品が、
『夏目友人帳』
です。
『夏目友人帳』は、緑川ゆき氏による漫画作品。
自然豊かな田舎町を舞台に、
妖怪を見ることのできる高校生・夏目貴志が、
祖母から受け継いだ「友人帳」に
書かれた妖怪たちの名前を返していく物語です。
一見すると、「妖怪が出てくる作品」です。
でも、私はこの作品を見ていて、いつも思うのです。
これは妖怪の話であると同時に、
「人間とは違う存在を、私たちはどう見るのか」
という話なのではないか。
妖怪は「怖いもの」ではなく、「隣人」なのかもしれない
『夏目友人帳』に登場する妖怪たちは、
とても個性豊かです。
人間に悪さをするものもいれば、
人間を助けるものもいる。
いたずら好きなものもいれば、
寂しがり屋のものもいる。
かつて人間から
「神様」として祀られていた存在もいます。
つまり、
妖怪だから善、妖怪だから悪
という単純な世界ではありません。
これは、よく考えてみると人間と同じですよね。
人間だって、
優しい人もいれば、
意地悪な人もいる。
親切な人もいれば、
誰かを傷つけてしまう人もいる。
だから「人間だから善」とは限らない。
それなのに私たちは、知らない存在に対して、
「妖怪だから怖い」
「得体が知れないから危険」
と、一括りにしてしまうことがあります。
『夏目友人帳』の面白さは、
そこを少しずつ崩していくところにあるのだと思います。
「悪い妖怪」とは、本当に悪い存在なのか
作品の中には、
妖怪によるトラブルを解決する「祓い屋」が登場します。
もちろん、
人間や動物に害を与える妖怪もいます。
そういう存在から人間を守ることは必要でしょう。
でも、『夏目友人帳』では、
「妖怪だから」という理由だけで排除することの是非
も描かれています。
妖怪側からすれば、
「ただそこにいるだけなのに、人間から怖がられている」
ということもある。
逆に、人間側からすれば、
「自分たちには理解できない存在だから怖い」
ということもある。
そこには、
どちらか一方だけが悪いとは言えない関係があります。
だからこそ夏目は、
人間と妖怪の間に立とうとします。
妖怪を何でも受け入れるわけでもない。
人間だけを正しいとも思わない。
ただ、
「お互いに違う存在なのだから、
分かり合えるところを探していこう」
とするのです。
私は、この姿勢がとても好きです。
「善悪」は、誰が決めているのだろう
ここで、
少しだけスピリチュアルな話をしてみます。
昔から日本では、
自然の中にさまざまな存在を感じてきました。
山、川、森、岩、木。
そこに神様や精霊の存在を感じ、
畏れたり、敬ったりしてきたのです。
現代の私たちは、
目に見えるものを中心に世界を考えがちです。
でも、
「見えない=存在しない」
とは限りません。
少なくとも、私たちが知らないものが
世界にたくさんあることは確かです。
だから私は、妖怪や精霊の話をするとき、
「本当にいるのか、いないのか」
だけで終わらせなくてもいいと思っています。
むしろ大切なのは、
「自分には分からないものを、すぐに否定しない」
という姿勢なのではないでしょうか。
私たちの日常にも「妖怪」はいる
もちろん、
ここで言う「妖怪」は比喩でもあります。
たとえば、
自分とはまったく価値観の違う人。
何を考えているのか分からない人。
理解できない行動をする人。
私たちは、
理解できないものに出会うと、つい、
「おかしい」
「間違っている」
「嫌な人だ」
と判断してしまいます。
でも、それは単に、
「自分の世界には、
その人を理解するための情報がまだない」
だけなのかもしれません。
もちろん、
何でも受け入れる必要はありません。
傷つけてくる人からは距離を取っていい。
危険なものから身を守ることも大切です。
でも、
「理解できないから悪」
と決めつける必要もない。
この絶妙な距離感を、
『夏目友人帳』は教えてくれているように感じます。
見えない世界は、もっと身近なのかもしれない
『夏目友人帳』には、
妖怪と人間が交流することで生まれる、
笑いもあれば、
切なさもあり、
優しさもあります。
妖怪と人間。
違う存在だからこそ、すれ違う。
でも、だからこそ、
分かり合えた瞬間がとても温かい。
私は、この作品を見ていて、
「世界には、自分が知らない世界が
重なっているのかもしれない」
と思うことがあります。
それは必ずしも、
霊的な世界の話だけではありません。
自分とは違う価値観を持つ人の世界。
知らなかった文化。
まだ見たことのない自然。
自分自身の中に眠っている感情。
私たちは、自分が見えている世界だけが
「すべて」だと思いがちです。
でも実際には、
見えていないもののほうが、ずっと多い。
そう考えると、世界は少しだけ広くなります。
「分からない」を、そのままにしておく
私は、『夏目友人帳』の魅力は、
「分からないものを、無理に分かったことにしない」
ところにもあると思っています。
妖怪が何なのか。
本当に存在するのか。
なぜ人間と関わるのか。
すべてを説明する必要はありません。
ただ、
「そういう存在もいるのかもしれない」
と、少しだけ余白を残しておく。
その余白があることで、
私たちは今まで見えなかったものに
気づけるようになるのかもしれません。
スピリチュアルな世界に興味はあるけれど、
いきなり難しい話を読むのはちょっと・・・
そんな方にも、
『夏目友人帳』はおすすめです。
妖怪や精霊という存在を、怖いものではなく、
「自分たちとは少し違う、同じ世界に生きる隣人」
として感じるきっかけになると思います。
そして何より。
ニャンコ先生をはじめ、
個性豊かな妖怪たちが本当に面白い(笑)
怖い話が苦手な方でも楽しめる、
優しくて少し切ない作品です。
最後に
もしあなたが今、
「自分には理解できない」
と思っているものがあるなら。
すぐに答えを出さなくてもいいのかもしれません。
好きにならなくてもいい。
受け入れなくてもいい。
ただ、
「私にはまだ分からないだけかもしれない」
と、一度だけ考えてみる。
それだけで、
世界の見え方が少し変わることがあります。
『夏目友人帳』が教えてくれるのは、
妖怪の存在だけではありません。
それは、
自分の知らないものを、
怖いという理由だけで切り捨てないこと。
そして、
違う世界に生きる存在とも、
適切な距離を保ちながら共存できること。
なのだと思います。
見える世界がすべてではない。
だからこそ、
世界にはまだまだ面白いものがある。
そんな余白を持って生きてみるのも、
悪くないのではないでしょうか。



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