幽霊を追い払うのではなく、お茶を振る舞う―山蔭神道に伝わる「お茶湯」―

こんにちは。御統いつきです。

突然ですが、

「幽霊がついてきたら、追い払う」のではなく、
「お茶を振る舞って帰っていただく」

という考え方をご存知でしょうか?

少し意外ですよね。

幽霊や霊障というと、

「塩をまく」
「お札を貼る」
「お経を唱える」

「結界を張る」

など、「退ける」「近づけない」
という方法を思い浮かべる方が多いと思います。

ところが、

日本の神道・仏教の文化を見ていくと、
少し違った発想もあります。

それが、

「おもてなしをして、静かに帰っていただく」

という考え方です。

今回は、山蔭神道に伝わる浄霊・供養法のひとつ、

「お茶湯(おちゃとう)」

をご紹介します。

山蔭神道とは?

2024年頃から、
YouTubeなどを通じて山蔭神道に伝わる知識や作法が、
以前よりも広く知られるようになりました。

山蔭神道は、白川神道(伯家神道)とともに
宮中祭祀に関わった古神道の流派とされ、

「アチマリカム」
「お茶湯」
「日拝・月拝」

など、さまざまな神事や作法が伝えられています。

今回取り上げるのは、
その中でも比較的簡単に実践できる「お茶湯」です。

お茶湯とは?

お茶湯とは、
山蔭神道に伝わる浄霊・供養法です。

伝承では、
平安時代に空海が始めたとも言われています。

その考え方は、とてもシンプルです。

私たちは日常生活の中で、
知らないうちに霊を連れて帰ってしまうことがある。

そして、

その霊が自分たちについてきてしまったのなら、

「お茶をどうぞ」

と温かいお茶を振る舞う。

そして、

「これを飲んで、元のところへお帰りください」

と送り出す。

これが、お茶湯です。

ここが、私はとても興味深いと思っています。

「追い払う」のではなく「もてなす」

霊的なものへの対処というと、どうしても、

「敵を追い払う」

という発想になりがちです。

しかし、お茶湯は少し違います。

「あなたを倒します」でもなければ、
「ここから出ていけ!」でもありません。

むしろ、

「お茶を用意しました。
これを召し上がって、どうぞお帰りください」

なのです。

なんとも日本らしいというか。

少し拍子抜けするくらい穏やかな方法ですよね。

でも、私はこういうところに、
日本の民俗や文化の面白さがあると思っています。

恐ろしいものだからといって、
必ずしも力で排除する。

それだけが方法ではない。

「供養する」

という方法もある。

そして、

「きちんともてなして、元の場所へ帰っていただく」

という考え方もある。

お茶湯は、

そんな日本的な霊との付き合い方を感じさせてくれる
方法のひとつだと思います。

お茶湯のやり方

今回ご紹介する方法は、

山蔭神道80代目神斎・表博耀氏が
YouTube「神結ちゃんねる~かみすちゃんねる~」
で紹介しているものです。

用意するもの

必要なのは、基本的にこれだけです。

  • 温かいお茶
  • お茶を入れる茶碗や水筒など

本来は緑茶ですが、
紅茶やウーロン茶、コーヒーなどでもよいとされています。

「そんなものでいいの?」と思うかもしれません。

でも、ここで大切なのは、
お茶そのものの種類よりも、

「温かいものを振る舞う」

という行為なのかもしれません。

① 温かいお茶を玄関の外に置く

まず、温かいお茶を玄関の外の角に置きます。

そして合掌し、次の言葉を唱えます。

声に出してもいいですし、心の中で唱えても構いません。

私たちについてきた仏様、
ここでお茶湯を振る舞いますので、
これを飲んで元のところにお帰りください。

とてもシンプルですよね。

「怖いから出ていけ」ではなく、

「お茶をどうぞ。飲んだらお帰りください」

なのです。

② 自分自身も祓ってから家に入る

次に、四拍手。

そして、

左肩 → 右肩 → 腰

の順に手で祓い、もう一度四拍手。

最後に一礼してから家の中に入ります。

本来は、ここで「弾指」という作法を行います。

ただし、弾指は一般の方にはなかなか難しいため、
紹介されている方法では、
先ほどの動作を代わりに行います。

③ 冷めたお茶を流す

お茶が冷めた頃、あるいは翌朝。

あらかじめ決めておいた溝などにお茶を流します。

その際、「無縁法界供養」と言って流します。

そうすることで、
自分の先祖ではない無縁仏にもお茶が行き渡り、
それが無縁仏に対する供養にもなります。

つまり、最初は
「自分についてきたかもしれない霊」
に向けて用意したお茶が、

最後には、

「どうぞ、あなたも召し上がってください」

と、さらに広い範囲へ向けた供養になっていくわけです。

この発想も、私はとても興味深いと思います。

なぜ「お茶」なのか?

ここからが、私がこのお茶湯に興味を持った理由です。

日本には昔から、

人にお茶を振る舞う文化

があります。

お茶が日本に伝わったのは奈良・平安時代頃。

その後、

鎌倉時代には禅僧や武家の間にも広まり、
やがて庶民の生活にも根付いていきました。

そして現代でも、

旅人にお茶を出す。
お遍路さんにお茶やお菓子を振る舞う。
来客に「まあ、お茶でもどうぞ」と言う。

そんな文化が残っています。

つまり、お茶には単なる「飲み物」以上に、

「人を迎える」
「労をねぎらう」
「もてなす」

という意味があるのです。

そう考えると、

「ついてきた霊にお茶を振る舞う」

というお茶湯の発想も、
少し身近に感じられませんか?

「怖いもの」への向き合い方

もちろん、

霊の存在や霊障については、
科学的に証明されているわけではありません。

私自身、幽霊を見たこともありません。

ですから、

「お茶湯をすれば必ず霊障がなくなる」

と断言するつもりもありません。

ただ、オカルトや民俗を研究する立場から見ると、

「恐ろしいものに対して、
人間はどう向き合ってきたのか」

という点は、とても興味深いテーマです。

怖いものを、

「敵だから排除する」

と考えるのか。

それとも、

「何か事情があってここにいるのかもしれない」

と考え、

「お茶をどうぞ。そろそろお帰りください」

と送り出すのか。

お茶湯には、後者の発想があります。

そして私は、
そこに日本の「供養する」という
文化の優しさのようなものを感じます。

まとめ

今回は、山蔭神道に伝わる浄霊・供養法、

「お茶湯」

をご紹介しました。

お茶湯は、温かいお茶を振る舞い、

「これを飲んで、元のところへお帰りください」

と、霊を送り出す方法です。

「追い払う」のではなく、
「もてなして帰っていただく」。

この発想は、なかなか面白いと思いませんか?

霊的なものに敏感だと感じている方。

人混みや繁華街など、
人の多い場所へ行くとなぜかひどく疲れてしまう方。

あるいは、お墓参りなどの後に、
なんとなく気になることがある方。

興味があれば、一度「お茶湯」という
方法を知っておくのもいいかもしれません。

ただし、何か不調や強い不安がある場合は、
霊的な原因だと決めつけず、

まずは休養や医療・心理的なサポートなど、
現実的な対処も大切にしてください。

オカルトは、怖がるためだけにあるものではありません。

昔の人が、

「目に見えないもの」とどう付き合ってきたのか。

そこを知ることで、

私たち自身の文化や、
人間の心のあり方まで見えてくることがあります。

そして、そういうところが、
私はオカルトの面白さだと思っています。

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